分子の間の相互作用が強くなると、分子同士がしっかりと結合した複合体が得られます。ポリ酸同士あるいはポリ酸と有機小分子の間の相互作用を対象とする上記2つの研究テーマに対して、本研究テーマはポリ酸と別の種類のクラスターとの間の相互作用の解明をめざしています。ポリ酸の相手としてエチニル銀クラスターを用いた研究から、右図に示すような新奇な複合クラスターが得られることを示しました。これらの結晶および溶液中での構造や、生成機構について研究を進めています。
本研究室では、これまでに蓄積してきたポリ酸に関する知見を活用して、金属元素を位置選択的に置換することによって表面電荷分布を制御したポリ酸を利用しています。そうすることによって、エチニル銀と結合する部位を自在にコントロールできることを示しました。
さらに、109Ag, 183W, 29Si, 13Cおよび1H NMRを用いることによって、複合クラスターが溶液中でも安定に存在することを示すとともに、分析用超遠心分離器を用いた分子量測定により複合クラスターの生成機構を明らかにしてきました。
研究成果の例